Shell Blog~環境衛生のエキスパートたちが書く、モノやコト~
2015.01.28
水には硬軟(硬水・軟水)のほか、
軽重(軽水・重水)があるのはご存知でしょうか。
実は軽水とは普通の水のことですが、
重水は軽水の2倍の重さを持っています。
しかし単純に重量の違いだけではなく、
成分や性質が大きく違います。
また重水は飲料水には適しておらず、
主に原子炉の減速材(核分裂後に放出される中性子の速度を下げる役割)や
放射線治療の減速材として使われています。
重水が人間にどうのような影響を及ぼすか、
ということについては、詳しくは分かっていません。
しかしねずみにおいては、通常の水を重水に置換えた場合、
30%を越えると死に至るという報告があります。
また100%重水中では、カエルの筋肉が収縮せず、
バクテリアも増殖が著しく遅くなると言われています。
重水が生体内反応に異常を来たすのは、
水素結合が原因です。
生物のDNAなどの重要な高分子は、
全て水素結合による高次構造が
乱されると正常に働かなくなります。
重水の水素は質量が2倍も違うため、
水素結合距離が大きく変化を起こします。
よって重水中では、高分子の構造が変化を起こすため、
正常に機能しなくなるのです。
さきほど原子炉の話が出ましたが、
普通の水(軽水)も中性子を吸収しやすいという特性を持っているため、
「軽水炉」として、現在世界の80%以上のシェアを占めています。
ちなみに日本で商用稼動している原子力発電所は、全て軽水炉です。
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